【徹底解説】サウナ火災はなぜ起こる?5大原因と対策|赤坂SAUNATIGER事故から学ぶ安全な施設の見分け方と緊急時の避難行動
2025年12月15日、衝撃的なニュースが飛び込んできました。
東京・赤坂の高級個室サウナ「SAUNATIGER(サウナタイガー)」で火災が発生し、30代の男女2名が亡くなったというのです。
正直、僕は最初このニュースを見たとき、言葉を失いました。
週に2〜3回はサウナに通う僕にとって、サウナは「最高の癒しの場所」であり「心身をリセットできる聖域」。まさか、そのサウナで人が亡くなるなんて…。しかも月額39万円という超高級施設で、です。
「自分がいつも行っているサウナは大丈夫なのか?」
そんな不安を感じた方も多いんじゃないでしょうか。
この記事では、サウナ愛好家の一人として、サウナ火災の原因と対策を徹底的にまとめました。「怖いからサウナに行くのをやめよう」ではなく、「正しい知識を持って、安全にサウナを楽しもう」——そんな思いで書いています。
SAUNATIGER火災事故で何が起きたのか
まず、今回の事故の概要を整理しておきましょう。
事故の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発生日時 | 2025年12月15日(月)正午頃 |
| 発生場所 | 東京都港区赤坂6丁目「SAUNATIGER」3階サウナ室 |
| 被害者 | 30代男女2名(死亡) |
| 推定死因 | 一酸化炭素中毒の可能性が高い |
| 出動規模 | ポンプ車など21〜22台、約1時間15分で鎮火 |
| 利用プラン | 午前11時〜午後1時の2時間プラン(19,000円) |
事故発生の経緯
午後0時25分頃、「建物の3階でベルが鳴っている」との119番通報があり、消防が駆けつけました。
2名の被害者はサウナ室入口付近で裸の状態で折り重なるように倒れていたとのこと。肩や背中にやけどの痕はあったものの、致命傷になるほど重篤なものではなかったそうです。
つまり、火傷で亡くなったのではなく、一酸化炭素中毒で亡くなった可能性が高いということ。
これ、すごく重要なポイントなんです。
サウナ室内の状況|TBS独自取材より
TBS「news23」の独自取材によると、現場では以下の状況が確認されました。
| 確認された状況 | 詳細 |
|---|---|
| 木製ベンチの焼け跡 | 背もたれと座面に「こぶし大の焼け跡」が数か所 |
| 煙の漏出 | 部屋から出た煙が店の廊下まで漏れていた |
| タオルの燃焼 | タオルも燃えていた |
| 延焼範囲 | 建物全体への延焼はなし、他の階や部屋への被害なし |
| 出火推定箇所 | 電気ストーブ周辺から出火とみられる(NHK報道) |
注目すべき「ドアノブ脱落」問題
事故翌日の12月16日、衝撃的な事実が報道されました。
サウナ室のドアノブが内側・外側とも外れて落下していたというのです。
非常用ボタンが押された形跡はあったものの、作動したかは不明。つまり、被害者が閉じ込められて脱出できなかった可能性があるんです。
高級サウナでこんなことが起きるなんて…。正直、ゾッとしました。
専門家が指摘する複数の可能性
今回の事故について、消防の専門家からは複数の見解が示されています。
| 専門家 | 役職 | 指摘内容 |
|---|---|---|
| 坂口隆夫氏 | 元東京消防庁麻布消防署長 | 「お客さんが原因で火災が発生することは考えにくい。サウナの石を温めている熱源の異常が発生した危険性が十分考えられる」 |
| 田中章氏 | 元東京消防庁特別救助隊 | 「狭い空間での換気不良による一酸化炭素中毒」に加え、「サウナ室は高温多湿でリチウムイオンバッテリーには良くない環境。スマートフォンの発火の可能性も調べる必要がある」 |
SAUNATIGERはスマートフォン持ち込み可能だったとのこと。この点が事故原因に関係しているのか、今後の捜査で明らかになることでしょう。
SAUNATIGERはどんな施設だったのか
SAUNATIGERは2022年8月30日にオープンした会員制高級サウナでした。
施設基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施設名 | SAUNATIGER(サウナタイガー) |
| 運営会社 | SAUNA&Co株式会社(代表取締役:栗原修) |
| 監修 | パンツェッタ・ジローラモ氏(ゼネラルマネージャー兼監修パートナー) |
| 所在地 | 東京都港区赤坂6丁目9-13 |
| アクセス | 東京メトロ千代田線「赤坂駅」6番出口より徒歩約5〜10分 |
| 営業時間 | 10:00〜翌03:00(完全予約制) |
| 開業日 | 2022年8月30日 |
| 会員数 | 77名限定 |
| 支払い | クレジットカード・電子マネーのみ(現金不可) |
料金体系
| プラン | 料金(税込) | 内容 |
|---|---|---|
| ダイヤモンド会員 | 月額390,000円 | 月1,500分利用可能 |
| ビジター(2名部屋) | 2時間19,000円 | 1名〜2名利用 |
| ビジター(4名部屋) | 2時間39,000円 | 1名〜4名利用 |
| ペントハウス | 2時間59,000円 | 最上級個室 |
※料金には1階ラウンジでの食事・ドリンク(食べ放題・飲み放題)含む
施設設備
| 設備 | 詳細 |
|---|---|
| サウナ室 | 全5室の完全個室(1人部屋2室、4人部屋3室) |
| ストーブ | METOSストーブ(約90〜100℃) |
| 水風呂 | 各部屋に完備 |
| ひのき風呂 | 温泉成分の湯を使用 |
| アメニティ | AVEDA製品 |
| ドライヤー | ダイソン |
| タオル・館内着 | 無料で使い放題 |
| 食事 | カルボナーラ(名古屋「クオーコ・ディ・マーレ」監修)、ワイン、国産ウイスキーハイボールなど |
口コミ評価(サウナイキタイ)
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| イキタイ数 | 1,398 |
| サ活投稿数 | 206件 |
| 平均評価 | 5段階中4.6 |
「建物の清潔感が素晴らしい」「サービスがトップクラス」「港区のお金持ちが行く隠れ家」「料理が本格的で美味しい」といった絶賛の声が多く、雑誌『LEON』21周年記念号にも「会員制の隠れ家」として掲載されていました。
一方で「チラーがないため水風呂がぬるい」「ガチ系サウナーには物足りない」という指摘も一部あったようです。
運営会社の対応
運営会社SAUNA&Co株式会社は火災発生当日の夜、以下のコメントを発表しました。
「当社の店舗においてこのような事態が発生し、尊い命が失われる結果となりましたことを重く受け止め、深くお詫び申し上げます。関係機関と連携し、原因究明と再発防止に全力で取り組んでまいります」
同社は当面の間の営業停止を決定し、予約済みの利用客には順次返金対応を行っています。
メディア・SNSの反響
今回の火災は、テレビ各局・新聞・ネットメディアで大きく報道されました。
| メディア | 反響 |
|---|---|
| Yahoo!ニュース(FNNプライムオンライン) | コメント501件以上 |
| Yahoo!ニュース(日テレNEWS) | コメント279件 |
報道の焦点は主に4点に集中しています。
- 月額39万円の高級サウナでの死亡事故という衝撃
- 完全個室・プライベート空間がリスク要因になった可能性
- 一酸化炭素中毒による死亡という予想外の死因
- スマホ持ち込み可能という特徴と発火の関連性
コメント欄では、個室サウナの安全性への懸念、換気・監視体制の問題を指摘する声、サウナブームへの警鐘などが投稿されています。
サウナ火災の5大原因|なぜサウナで火が出るのか
「そもそも、サウナって火事になるの?」
そう思う方もいるかもしれません。実は、サウナには固有の火災リスクがあるんです。
原因①:低温炭化・無焔着火(最多原因)
これがサウナ火災の最大の原因です。
木材は通常400℃で発火しますが、長時間高温にさらされて炭化すると、なんと約100℃で発火することがあるんです。これを「低温炭化」「無焔着火」と呼びます。
恐ろしいのは、目に見える炎がない状態で着火するということ。サウナストーブと壁材の距離(離隔距離)が不十分だと、数年かけてじわじわと木材が炭化していき、ある日突然発火する——そんな怖いことが起こりえます。
実際、日本国内で記録されているサウナ火災6件のうち、4件が低温炭化が原因と特定または推定されています。
消防法では離隔距離が厳格に規定されていますが、新興の施設や自作サウナでは守られていないケースも…。
原因②:可燃物の放置・持ち込み
「ちょっとタオルを置いただけなのに…」「ロウソクで雰囲気を出したかっただけなのに…」
そんな軽い気持ちが火災につながることがあります。
| 危険な行為 | リスク |
|---|---|
| ストーブ上へのタオル放置 | 高温で急速に乾燥→発火 |
| サウナハットの放置 | 素材によっては引火 |
| ヴィヒタ(白樺の枝葉)の不適切な保管 | 乾燥して燃えやすくなる |
| 新聞・雑誌の持ち込み | 紙類は最も燃えやすい |
| ロウソクの持ち込み | 2025年沖縄で実際に火災発生 |
濡れたタオルでも、高温環境下では予想以上に早く乾燥して発火するんです。北欧では洗濯物の落下による火災事例も報告されています。
原因③:電気ヒーターの故障・過熱
フィンランド安全化学庁(Tukes)の2023年統計によると、サウナ火災は年間98件発生しているそうです。
| 故障の種類 | 詳細 |
|---|---|
| 加熱素子(ヒーター)の故障 | 過熱による発火 |
| サーモスタットの不具合 | 温度制御が効かなくなる |
| タイマーの誤作動 | 自動停止しない |
| 温度センサーの故障 | 異常高温を検知できない |
| 電気系統のショート | 配線劣化などが原因 |
今回のSAUNATIGER事故も、電気ストーブ周辺から出火したとみられています。
原因④:煙道火災(薪サウナの場合)
薪サウナ特有のリスクとして、煙道火災があります。
煙突内部に蓄積した煤(すす)やタールに引火するもので、定期的な煙突清掃を怠ると発生します。
原因⑤:リチウムイオンバッテリーの発熱
これは近年注目されている新しいリスクです。
スマートフォン(リチウムイオンバッテリー)は高温多湿環境で発火するリスクがあるんです。
| 条件 | リスク |
|---|---|
| 高温(60℃以上) | バッテリーの熱暴走リスク増加 |
| 高湿度 | 内部回路への悪影響 |
| 充電中 | さらにリスク増加 |
SAUNATIGERは「スマホ持ち込みOK」を特徴としていました。専門家からは「サウナ室は高温多湿でリチウムイオンバッテリーには良くない環境。発火の可能性も調べる必要がある」との指摘が出ています。
消費者庁データで見るサウナ事故の実態
「サウナ事故って、実際どれくらい起きてるの?」
消費者庁が2024年6月5日に発表したデータを見てみましょう。
10年間で78件、死亡2名
| 期間 | 事故件数 | 受傷者数 | 死亡者数 |
|---|---|---|---|
| 2014〜2024年4月 | 78件 | 82人 | 2人 |
事故内容の内訳
| 事故内容 | 件数 |
|---|---|
| やけど | 31件(最多) |
| 切り傷・擦り傷 | 24件 |
| 骨折・打撲 | 14件 |
| その他 | 9件 |
急増するサウナ事故
特に注目すべきは増加傾向です。
| 期間 | 年間平均件数 |
|---|---|
| 2014〜2021年 | 約4件/年 |
| 2022〜2023年 | 10件以上/年 |
つまり、ここ数年で事故件数が倍増しているんです。
これは第3次サウナブーム(2019年〜)と無関係ではないでしょう。サウナ人口が増えれば、当然事故も増える。新形態の施設が増えれば、新しいリスクも生まれる。
事故発生場所の詳細内訳
| 場所 | 割合 |
|---|---|
| 入浴施設(銭湯・スーパー銭湯) | 54.9%(最多) |
| 宿泊施設 | 18.3% |
| スポーツ施設 | 15.9% |
| 住宅(家庭用サウナ) | 4.9% |
| 屋外(テントサウナ) | 2.4% |
| その他 | 3.6% |
年齢層は40〜70代が約75%
| 年齢層 | 割合 |
|---|---|
| 40〜70代 | 約74.6% |
| その他 | 約25.4% |
サウナ好きの中心層がまさにこの年代なので当然といえば当然ですが、年齢を重ねるほどヒートショックや体調急変のリスクも高まります。
日本国内サウナ火災事故(1968年〜2025年)
ここからは、日本国内で発生したサウナ火災事故を時系列で整理していきます。
実は調べてみて驚いたんですが、1968年から2022年までの54年間、記録されている重大なサウナ火災はほとんど発生していなかったんです。ところが、2022年から2024年のわずか3年間で5件の火災が発生しています。
これは明らかに、サウナブームによる施設の急増と関係していますよね。
統計サマリー
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 総件数 | 6件(記録されている主要な事故) |
| 死者総数 | 5名(1968年:3名、2024年:2名) |
| 負傷者総数 | 0名 |
| けが人ゼロの事故 | 4件(2022年〜2024年) |
時系列
① 1968年3月13日:有楽サウナ火災(東京都千代田区)
日本初のサウナ施設火災死亡事故です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施設タイプ | 共有型サウナ |
| 場所 | 有楽町ビルヂング2階 |
| 火災原因 | 木製ベンチ下の電熱炉による低温炭化・無焔着火 |
| 被害 | 死者3名(一酸化炭素中毒) |
| 特記事項 | 1953年のスバル座火災(同じ有楽町)の跡地に建設されたビルで発生 |
この事故から50年以上経った今でも、低温炭化による火災は繰り返し発生しています。歴史から学ぶことの大切さを痛感しますね…。
② 2022年12月31日:御船山楽園ホテル「らかんの湯」火災(佐賀県武雄市)
サウナ好きなら誰もが知る、サウナシュラン3年連続優勝・殿堂入り施設での火災です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施設タイプ | ホテル内共有型(薪サウナ) |
| 場所 | 佐賀県武雄市武雄町 |
| 火災原因 | 薪ストーブ関連(推定:低温炭化) |
| 被害 | けが人ゼロ、薪サウナ棟全焼 |
| その後 | 2024年3月16日に薪サウナ完全復活 |
年末の営業時間中に発生しましたが、利用客全員が迅速に避難してけが人ゼロで済みました。スタッフの対応が素晴らしかったんでしょうね。
③ 2023年8月17日:Sherokuma Sauna&Cafe火災(長野県信濃町)
長野県の人気貸切サウナでの火災です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施設タイプ | 屋外貸切型(薪サウナ) |
| 場所 | 長野県上水内郡信濃町野尻 |
| 火災原因 | 低温炭化(薪ストーブ) |
| 被害 | けが人ゼロ、薪サウナ棟「KIMOSABEE」全焼 |
| その後 | クラウドファンディングで復旧、2023年11月3日に営業再開 |
営業開始からわずか1年4ヶ月での火災でしたが、屋外施設だったことで避難が容易だったのが幸いしました。
④ 2024年11月3日:S-perch火災(新潟県佐渡市)
この事例は、消防調査で「低温炭化」が公式に火災原因として認定された重要なケースです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施設タイプ | ゲストハウス |
| 火災原因 | 低温炭化(消防調査で正式に確認) |
| 被害 | けが人ゼロ(推定) |
| 特記事項 | 設備の欠陥や管理上の問題ではないと結論付けられた |
「低温炭化」という現象が、設備に問題がなくても起こりうることを示した事例です。これ、本当に怖いですよね…。
⑤ 2025年9月3日:サウナの珠湯火災(沖縄県那覇市)
利用客の人為的ミスが原因という珍しいケースです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施設タイプ | 1階個室+2階公衆型の混合 |
| 場所 | 沖縄県那覇市松尾(浮島通り周辺) |
| 火災原因 | 利用客が休憩スペースのロウソクをサウナ室内に持ち込み |
| 被害 | けが人ゼロ、1階個室サウナ内部焼損(延焼なし) |
| その後 | 2階の公衆サウナは通常営業継続 |
ロウソクをサウナ室に持ち込むなんて…と思うかもしれませんが、「雰囲気を出したかった」という気持ちは分からなくもないですよね。でも、サウナ室への可燃物持ち込みは絶対NGです。
⑥ 2025年12月15日:SAUNATIGER火災(東京都港区赤坂)
今回の記事の主題となった事故です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施設タイプ | 個室プライベートサウナ(会員制高級) |
| 場所 | 東京都港区赤坂(5階建てビル3階) |
| 火災原因 | 推定:可燃物の低温炭化またはスマートフォンバッテリー発火 |
| 被害 | 死者2名(30代男女、一酸化炭素中毒) |
| 特記事項 | ドアノブが内側・外側両方で脱落、日本初の個室プライベートサウナでの死亡事故 |
施設タイプ別の被害分析
ここで、施設タイプ別に被害状況を整理してみましょう。
| 施設タイプ | 件数 | 死者 | 負傷者 |
|---|---|---|---|
| 個室プライベートサウナ | 1件 | 2名 | 0名 |
| 共有型サウナ(1968年) | 1件 | 3名 | 0名 |
| ホテル内共有型 | 1件 | 0名 | 0名 |
| 屋外貸切型 | 1件 | 0名 | 0名 |
| 混合型(個室+公衆) | 1件 | 0名 | 0名 |
注目すべきポイント
- 個室プライベートサウナは1件のみだが、死者2名
- 2022年以降の4件はすべてけが人ゼロ(2024年赤坂を除く)
- 屋外・貸切・混合型はすべてけが人ゼロ
この対比は、施設タイプがサウナ火災の被害を決定的に左右することを示しています。
火災原因別の分析
| 火災原因 | 件数 | 死者 |
|---|---|---|
| 低温炭化(木材の炭化) | 4件 | 3名 |
| 利用客の人為的ミス(ロウソク) | 1件 | 0名 |
| バッテリー発火(推定含む) | 1件 | 2名 |
低温炭化が圧倒的に多いことが分かります。
けが人ゼロで終わった事故の共通点
なぜ4件の事故で死傷者が出なかったのか?共通点を分析してみました。
| 成功要因 | 該当事例 |
|---|---|
| 複数人利用または開放型構造 | 御船山楽園、Sherokuma、珠湯 |
| 屋外施設による避難の容易性 | Sherokuma |
| 出入口が正常に機能 | すべて |
| スタッフの迅速な対応 | 御船山楽園、珠湯 |
| 複数の避難経路 | 珠湯(混合型) |
死者が出た事故の共通点
一方、死者が出た2件の事故には、以下の共通点がありました。
| 共通点 | 1968年有楽サウナ | 2024年SAUNATIGER |
|---|---|---|
| 一酸化炭素中毒 | ✓ | ✓ |
| 発見遅延 | 夜間未明 | 個室で気づかれず |
| 脱出困難 | 不明 | ドアノブ脱落で閉じ込め |
| 気密性 | 高い | 非常に高い |
| 利用人数 | 少人数 | 1~2人のみ |
安全なサウナの見分け方|10項目チェックリスト
ここからは実践編です。
「自分が行くサウナは安全なのか?」
これを判断するための10項目チェックリストをまとめました。施設選びの参考にしてください。
✅ チェックリスト
設備・構造(5項目)
| No. | チェック項目 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 1 | 非常口・避難経路 | 明確に表示されているか |
| 2 | ドア・ドアノブの状態 | ガタつき、緩みがないか |
| 3 | 非常用ボタン・緊急通報装置 | 設置されているか、場所を把握 |
| 4 | 換気口・換気システム | 適切に機能しているか |
| 5 | ストーブ周辺 | 可燃物が放置されていないか |
運営・管理(5項目)
| No. | チェック項目 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 6 | スタッフの巡回 | 定期的に行われているか(特に個室) |
| 7 | 利用時間の制限 | 注意喚起があるか |
| 8 | 緊急時対応マニュアル | 掲示されているか |
| 9 | 清掃・メンテナンス | 行き届いているか |
| 10 | 消火器の設置場所 | 分かりやすい場所にあるか |
🚨 特に注意すべき施設タイプ
個室サウナ・プライベートサウナは特に注意が必要です。
| リスク要因 | 詳細 |
|---|---|
| 密室性 | スタッフの目が届きにくい |
| 発見遅れ | 異変に気づいてもらえるまで時間がかかる |
| 脱出困難 | 緊急時の脱出が困難になる可能性 |
| 監視体制 | 完全プライベートゆえの限界 |
「プライバシーが守られる」というメリットと「誰も助けに来れない」というリスクは表裏一体なんです。
サウナ種類別リスクガイド
サウナの種類によって、リスクの性質が異なります。
個室サウナ・プライベートサウナ
リスクレベル:★★★★★(最高)
| リスク | 内容 | 対策 |
|---|---|---|
| 閉じ込め | ドア故障時に脱出不能 | 利用前にドア・非常ボタンの動作確認 |
| 発見遅れ | 異変があっても気づいてもらえない | 同伴者との連絡手段確保 |
| CO中毒 | 換気不良による一酸化炭素蓄積 | 異変を感じたら即退室 |
| バッテリー発火 | スマホ持ち込み可の施設では注意 | スマホは持ち込まない or 防水ケース使用 |
SAUNATIGER事故が突きつけた個室サウナの課題
| 課題 | 詳細 |
|---|---|
| 脱出経路の確保 | ドアノブ等の設備故障時に閉じ込められない設計 |
| 緊急時の検知体制 | 無人空間での火災・異常を早期発見する仕組み |
| 一酸化炭素対策 | 換気不良による中毒リスクへの対応 |
| 持ち込み品の管理 | リチウムイオンバッテリー等の高温環境リスク |
テントサウナ
リスクレベル:★★★★☆(高め)
| リスク | 内容 | 対策 |
|---|---|---|
| CO中毒 | 薪ストーブの不完全燃焼 | 十分な換気を確保 |
| 火災 | 幕体への引火、ストーブ転倒 | 離隔距離の確保、転倒防止 |
| 低温やけど | 高温部への接触 | 注意深く行動 |
とるべき対策
- CO警報器を必ず設置
- 幕体とストーブの離隔距離を確認
- 風の強い日は使用を控える
自宅サウナ(家庭用)
リスクレベル:★★★☆☆(中程度)
| リスク | 内容 | 対策 |
|---|---|---|
| 電気系統トラブル | 配線不良、過電流 | PSEマーク付き製品を選ぶ |
| 離隔距離不足 | 自作・DIYでの設計ミス | 消防法の離隔距離を遵守 |
| メンテナンス不足 | 専門業者による点検が行われない | 定期的な専門業者点検 |
とるべき対策
- 専門業者による設置・点検
- 火災報知器・消火器の設置
公衆浴場・スーパー銭湯
リスクレベル:★★☆☆☆(比較的低い)
| 安全要因 | 詳細 |
|---|---|
| スタッフ常駐 | 異変に気づきやすい |
| 法規制 | 消防法・建築基準法の規制が厳格 |
| 定期点検 | メンテナンスが定期的に実施 |
とはいえ、完全に安心というわけではありません。過去の事例を見ても、設備に問題がなくても低温炭化は起こりえます。
一酸化炭素中毒を防ぐ|無色無臭の「サイレントキラー」
今回のSAUNATIGER事故で最も衝撃的だったのは、死因がやけどではなく一酸化炭素中毒の可能性が高いという点です。
実は1968年の有楽サウナ火災でも、死因は一酸化炭素中毒でした。
なぜサウナでCO中毒が起きるのか
一酸化炭素(CO)は無色・無臭のガスです。
| 発生源 | 詳細 |
|---|---|
| 不完全燃焼 | 薪サウナ、ガスサウナで発生 |
| 電気系統トラブル | 燻り・発火による発生 |
| 換気不良 | 狭い密閉空間でCOが蓄積 |
狭い密閉空間では、わずかなCO発生でも危険濃度に達する可能性があります。
CO中毒の症状(段階別)
| 段階 | 症状 | 対処 |
|---|---|---|
| 軽度 | 頭痛、めまい、吐き気 | 直ちに退室、新鮮な空気を吸う |
| 中度 | 判断力低下、意識朦朧、脱力感 | 直ちに退室、救急要請検討 |
| 重度 | 意識喪失、けいれん、死亡 | 緊急救急要請、心肺蘇生 |
「なんか頭がボーッとする」「気分が悪い」と感じたら、それはCO中毒の初期症状かもしれません。
「今日は体調が悪いのかな」と我慢せず、すぐにサウナ室を出てください。
CO中毒を防ぐためにできること
| 対策 | 詳細 |
|---|---|
| 換気口の確認 | ふさがれていないか確認 |
| 体調異変で即退室 | 頭痛・めまいを感じたら即退室 |
| CO警報器の携帯 | テントサウナでは必携 |
| 異臭で即通報 | 焦げ臭いなどを感じたら即通報 |
知っておきたいサウナの法規制
「法律なんて難しくて…」と思うかもしれませんが、知っておくと施設選びの目安になります。
消防法による規制
消防法第9条および各自治体の火災予防条例では、以下が規定されています。
| 規制項目 | 内容 |
|---|---|
| 離隔距離 | サウナストーブと可燃物との距離を厳格に規定 |
| 自動電源遮断装置 | 異常温度上昇時に自動停止 |
| 耐火区画 | 1時間以上の耐火性能を有する壁・床で区画 |
日本サウナ・スパ協会の設置基準(平成15年策定)
| 項目 | 基準 |
|---|---|
| 耐火区画 | サウナ室は1時間以上の耐火性能を有する壁・床で区画 |
| 室内温度 | 天井付近で110℃以下 |
| 自動遮断装置 | 温度ヒューズ付き装置の設置義務 |
| ストーブ囲い | 人が容易に触れない柵等の設置 |
2025年の新基準(総務省消防庁)
総務省消防庁は2024年6月から11月にかけて「可搬式サウナ等の特性に応じた防火安全対策に関する検討会」を開催し、2025年3月に報告書を公表。2025年度内の省令改正を予定しています。
新基準の主な内容
| 項目 | 基準 |
|---|---|
| 対象 | 最大出力6kW以下の薪・電気ストーブを使用するテントサウナ・バレルサウナなど |
| 離隔距離(上方) | ストーブ上方100cm以上 |
| 離隔距離(周囲) | ストーブ周囲10cm以上 |
| 転倒防止 | 風によるストーブ転倒防止措置の義務化 |
| 熱源遮断 | 異常時の熱源遮断装置の設置 |
| 消火装置 | 自動消火装置の設置を求める方針 |
個室サウナ・プライベートサウナ全般への規制強化も議論される可能性があります。
万が一の時の避難行動
「まさか自分が火災に遭うなんて…」
そう思いがちですが、事前に避難行動をシミュレーションしておくことが大切です。
サウナ室で火災が発生したら
| 順序 | 行動 | ポイント |
|---|---|---|
| 1 | 状況確認 | パニックにならず、まず状況を把握 |
| 2 | 低い姿勢で移動 | 煙は上に溜まるため |
| 3 | 非常ボタンを押す | ドアが開かない場合 |
| 4 | 助けを呼ぶ | 大声で叫ぶ |
| 5 | 口と鼻を覆う | 濡れタオルでCO吸入を軽減 |
入室前に確認すべきこと
| 確認項目 | 所要時間 |
|---|---|
| 非常口の位置 | 3秒 |
| 非常ボタンの場所 | 3秒 |
| 消火器の設置場所 | 2秒 |
| スタッフの常駐場所 | 2秒 |
たった10秒の確認が命を救う可能性があるんです。
よくある質問(FAQ)
Q1. サウナにスマホを持ち込んでも大丈夫?
A. できれば持ち込まない方が安全です。
リチウムイオンバッテリーは高温多湿環境で発火リスクがあります。持ち込む場合は防水ケースに入れ、直接高温にさらさないよう注意してください。
Q2. 個室サウナは危険なの?
A. リスクを理解した上で利用すれば問題ありません。
入室前にドア・非常ボタンの動作確認をし、異変を感じたらすぐに退室することが大切です。過去の事故データを見ると、個室サウナでの死亡事故は他の施設タイプより被害が大きくなる傾向があります。
Q3. テントサウナでCO中毒を防ぐには?
A. CO警報器の設置と十分な換気が必須です。
薪ストーブを使用する場合は特に注意。定期的に換気口を確認し、頭痛やめまいを感じたら即座に退出してください。
Q4. 自宅サウナを設置する際の注意点は?
A. PSEマーク付き製品を選び、専門業者に設置を依頼してください。
消防法の離隔距離を遵守し、火災報知器・消火器も設置しましょう。自作・DIYはリスクが高いため推奨しません。
Q5. サウナで体調が悪くなったらどうすれば?
A. すぐにサウナ室を出てください。
「もう少し頑張ろう」は禁物。頭痛・めまい・吐き気はCO中毒の初期症状の可能性があります。
Q6. 「低温炭化」って防げるの?
A. 完全に防ぐことは難しいですが、リスクを下げることはできます。
適切な離隔距離の確保、定期的な点検、木材の状態確認が重要です。S-perchの事例では、設備に問題がなくても低温炭化が起きたことが消防調査で確認されています。
フィンランドのサウナ火災統計(参考)
サウナ発祥の地・フィンランドでも火災は発生しています。
| 項目 | データ |
|---|---|
| 年間サウナ火災件数 | 約98件(2023年、Tukes統計) |
| 主な原因 | 加熱素子の故障、サーモスタット・タイマーの不具合 |
| 対策 | 厳格な安全基準、定期点検の義務化 |
フィンランドでは人口約550万人に対してサウナが約300万台あると言われています。それでも年間約100件の火災が発生しているという事実は、サウナには固有の火災リスクがあることを示しています。
まとめ:サウナを愛するからこそ、安全を意識する
長くなりましたが、最後までお読みいただきありがとうございます。
正直に言うと、この記事を書きながら何度も胸が苦しくなりました。
サウナは僕にとって「最高の癒し」であり「人生の楽しみ」です。だからこそ、今回の事故は本当にショックでした。
でも、怖いからサウナをやめるのではなく、正しい知識を持って安全に楽しむことが大切だと思うんです。
この記事のポイントまとめ
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| ✅ 5大原因を理解 | 低温炭化、可燃物、故障、煙道、バッテリー |
| ✅ CO中毒に注意 | 無色無臭のサイレントキラー、異変で即退室 |
| ✅ 10項目チェック | 安全な施設を見極める |
| ✅ 施設タイプ別対策 | 個室は特にリスク高、屋外・共有型は比較的安全 |
| ✅ 入室前10秒確認 | 非常口、非常ボタン、消火器 |
歴史が教えてくれること
1968年から2025年までの57年間で、記録されている主要なサウナ火災はわずか6件。しかし、そのうち5件が2022年以降に集中しています。
これはサウナブームによる施設急増と密接に関連しています。特に個室プライベートサウナという新しいビジネスモデルが、従来の法制度では想定されていなかった複合的なリスクをもたらしたことを、今回の事故は示しています。
亡くなられた方々のご冥福を心よりお祈りいたします。
そして、この事故を教訓に、サウナ業界全体の安全対策が進むことを願っています。
僕たちサウナーにできることは、安全を意識しながら、これからもサウナ文化を大切にしていくこと。
一緒に、安全で素敵なサウナライフを送りましょう。
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一人でも多くのサウナーに、安全の大切さが届きますように。
参考資料・出典
| 出典 | 内容 |
|---|---|
| 消費者庁 | 「サウナ浴での事故に注意」(2024年6月5日発表) |
| 総務省消防庁 | 「可搬式サウナ等の特性に応じた防火安全対策に関する検討会」報告書(2025年3月) |
| 日本サウナ・スパ協会 | 「サウナ設備設置基準」(平成15年策定) |
| フィンランド安全化学庁(Tukes) | サウナ火災統計(2023年) |
| 警視庁・東京消防庁 | SAUNATIGER火災に関する報道発表 |
| 各種報道機関 | NHK、TBS、FNN、日テレ、西日本新聞、沖縄タイムス等の報道 |
| Wikipedia | 有楽町ビルヂング、スバル座火災 |
| S-perch公式 | 火災に関する報告書 |
| 御船山楽園ホテル公式 | Facebook火災報告 |
| Sherokuma Sauna | CAMP FIRE クラウドファンディングページ |
※本記事の情報は2024年12月時点のものです。SAUNATIGER火災の出火原因は調査中であり、今後の捜査結果により内容が更新される可能性があります。
※本記事は安全啓発を目的としており、特定の施設や製品を推奨・批判するものではありません。

